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ブロックくずしゲームを作る
その２ ボールを動かす
前回設定したフォームの中で，ボールを動かしてみたいと思 います。
timerコンポーネント
今回新たに，Timerコンポーネントを使います。 Timerコンポーネントはツールパレット（画面右下）の「system」のフォルダに入っていますので，それをフォームに設置してください。
Timerコンポーネントを設置したら，Timerコンポーネントを選択し，オブジェクトインスペクタ（画面左下）のプロパティでTimerコンポーネントのプロパティを変更します。（EnabledとIntervalを変更します。）
次に，イベントハンドラを２つ呼び出します。
Image1Click と Timer1Timer の２つですが，これらは，フォームに設置したImageコンポーネントとTimerコンポーネントをダブルクリックすることで，イベントハンドラを呼び出すことがでいます。
ここまでのコードを掲載します。
TForm1 = class(TForm)
Image1: TImage;
procedure FormCreate(Sender: TObject);
private
{ Private 宣言 }
public
{ Public 宣言 }
end;
var
Form1: TForm1;
implementation
{$R *.dfm}
procedure TForm1.FormCreate(Sender: TObject);
begin
form1.ClientWidth:=400;
form1.ClientHeight:=500;
image1.Left:=0;
image1.Top:=0;
image1.Width:= form1.ClientWidth;
image1.Height:= form1.ClientHeight;
with image1.Canvas do
begin
brush.Color:=clblack;
fillrect (image1.Canvas.ClipRect);
end;
end;
begin
end;
procedure TForm1.Timer1Timer(Sender: TObject);
begin
end;
変数の宣言
これで，ボールを動かすためのプログラムを書く準備ができました。
まず最初に，ボールの座標を表すための変数を宣言します。ここでは次のようにしてみます。
ballx…ボールのＸ座標
bally…ボールのＹ座標
bx …ボールの進む距離（横方向に進 む数）
by …ボールの進む距離（縦方向に進 む数）
balls…ボールの大きさ
これらの変数の名前は適当で良いのですが，自分でわかりやすい名前を付けないと混乱してしまいます。
これらの変数をPrivate部で，整数宣言します。
TForm1 = class(TForm)
Image1: TImage;
procedure FormCreate(Sender: TObject);
private
{ Private 宣言 }
{ Public 宣言 }
end;
Image1.Clickへの書き込み
次に，Image1.Clickイベントハンドラで変数の値を入力して，Timerコンポーネントを作動させます。
コードに書くと下のようになります。
begin
bally:=300; ボールのＹ座標を３００にする
bx:=3; ボールがＸ方向に進む距離を３にする
by:=-6; ボールがＹ方向に進む距離を－６にする
balls:=6; ボールの大きさを６にする
timer1.Enabled:=true; Timer1を作動させる
Timerへの書き込み
次に，Timerイベントハンドラにプログラムを記述していきます。
まず，今までのボールを黒で塗りつぶします。
fillrect(rect(ballx,bally,ballx+balls,bally+balls)); ボールの部分の矩形を塗りつぶす
end;
次に，ボールが進んだ新しい座標を求めます。
このときに気をつけることは，ボールのある場所が，右端または左端なら，ボールの進行方向を変える必要があります。同じようにボールが上端または下端な ら，進行方向を変えます。
これをプログラムで書くと，下のようになります。
ballx:=ballx+bx; ボールのＸ座標に進んだ距離を加える
if (bally<=0) or (bally>=image1.Height-balls) then by:=-by; ボールのＹ座標が０以下またはフォームの高さ以上のときは向きを変える
bally:=bally+by; ボールのＹ座標に進んだ距離を加える
最後に，ボールが進んだ新しい場所に，新たにボールを描きます。
fillrect(rect(ballx,bally,ballx+balls,bally+balls)); ボールの矩形の部分を塗りつぶす
end;
これをまとめて書くと，下のようになります。
begin
brush.Color:=clblack;
fillrect(rect(ballx,bally,ballx+balls,bally+balls));
end;
ballx:=ballx+bx;
if (bally<=0) or (bally>=image1.Height-balls) then by:=-by;
bally:=bally+by;
brush.Color:=clwhite;
fillrect(rect(ballx,bally,ballx+balls,bally+balls));
end;
end;
まとめ
以上のことをまとめると，次のようなコードになります。
（太字の部分が，新しく書かれたプログラムです。）
TForm1 = class(TForm)
Image1: TImage;
procedure FormCreate(Sender: TObject);
private
{ Private 宣言 }
{ Public 宣言 }
end;
var
Form1: TForm1;
implementation
{$R *.dfm}
procedure TForm1.FormCreate(Sender: TObject);
begin
form1.ClientWidth:=400;
form1.ClientHeight:=500;
image1.Left:=0;
image1.Top:=0;
image1.Width:= form1.ClientWidth;
image1.Height:= form1.ClientHeight;
with image1.Canvas do
begin
brush.Color:=clblack;
fillrect (image1.Canvas.ClipRect);
end;
end;
procedure TForm1.Image1Click(Sender: TObject);
begin
bally:=300;
bx:=3;
by:=-6;
balls:=6;
timer1.Enabled:=true;
procedure TForm1.Timer1Timer(Sender: TObject);
begin
brush.Color:=clblack;
fillrect(rect(ballx, bally,ballx+balls,bally+balls));
end;
ballx:=ballx+bx;
if (bally<=0) or (bally>=image1.Height-balls) then by:=-by;
bally:=bally+by;
brush.Color:=clwhite;
fillrect(rect(ballx, bally,ballx+balls,bally+balls));
end;
以上を書き込んだら，実行してみてください。
フォームの黒い部分をクリックすると白いボールのようなものが，動き始めると思います。
ボールの速さはTimer1.Intervalの数字を変更することで，変えることができます。
次回は，ボールを打ち返すラケットを作ってみたいと思います。